皆さんのなかで、二世帯住宅について「トラブルが多い」「人間関係が大変」といったマイナスイメージを持っている人もいるかと思います。しかし、二世帯住宅には経済面などで大きなメリットも存在します。今回は、二世帯住宅を選ぶメリットやよくあるトラブル、トラブルを回避するためにできることなどについて解説します。

物価高が続くなか二世帯住宅を選ぶメリットは？

二世帯住宅を選ぶとどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず、建築費の負担を分担できるのは二世帯住宅の大きなメリットです。住宅購入は人生の中でとても大きな買い物です。土地付き戸建て住宅の平均購入価格は4,400万円で、かなりの経済的負担となります。二世帯住宅にすると総工費が増えてしまう可能性が高いですが、１世帯あたりの建設費を安くできます。建設費以外の経済的負担も軽減できます。たとえば、電気や水道の基本料金や共通で使用する物品の購入に関する費用を安くすることも可能です。

近年は物価高により経済的負担が重くなっているため、２世帯で協力しながら負担を軽減するのは、生活していくうえで賢明な方法だといえます。家事や子育て、介護の負担を分担できるのも二世帯住宅のよい点です。近年では夫婦共働きが一般的になりつつありますが、育児と仕事の両立で悩む家庭もいます。二世帯住宅であれば、子どもの世話の負担を分担することも可能です。

二世帯住宅で起こりやすいトラブル例とは

二世帯住宅には経済面や家事・育児の負担軽減といった面で大きなメリットがあるとわかりました。しかし、二世帯住宅はトラブルが起こりやすいという面もあります。

具体的なトラブル例について解説します。トラブルが起こりやすい場所のひとつが共用部分です。二世帯住宅はキッチンやトイレ、浴室、リビングなどが共用スペースとなっていることが多いのですが、この部分の使用をめぐってトラブルが発生します。具体的には料理の作り方やキッチンスペースの使い方、ごみの処理方法、トイレの使用方法、入浴時間、リビングでの過ごし方などがトラブル原因となることが多いです。

また、プライバシーの確保が難しいというのも二世帯住宅でありがちなトラブルです。同じ建物に住んでいるため、どうしても、互いのことを意識してしまいます。生活音や会話などが相手に丸々伝わってしまうのもストレスとなるかもしれません。あるいは、光熱費の負担を巡って対立することもあります。経済的負担が減るのはメリットですが、どちらがどの程度負担するかを事前に決めておかないと、金額をめぐって対立する可能性があるのです。

加えて、売却しにくいのも二世帯住宅のデメリットです。住宅の名義が共有となっている場合、相手の同意なしに売却することはできません。このように、二世帯住宅にはメリットが多い半面、デメリットも少なからず存在します。両者を比較し、どちらが双方の家庭にとってよいことか考えたうえで、二世帯住宅にするかどうか決めるべきでしょう。

トラブル回避のためにできること

トラブル回避のために意識することはつぎの３点です。

ひとつ目のポイントは間取りを工夫することです。二世帯住宅には完全同居型、一部同居型、完全分離型の３種類の間取りがあります。完全同居型にはスペースを広く取れることや経済的負担が小さいといったメリットがあります。しかし、互いの距離が近くなるため考え方の違いなどでトラブルになる可能性があります。

一部共有型は共用スペースのみ一緒で、あとはプライバシーを優先する間取りです。完全同居型よりプライバシーは保たれますが、共用部分で対立するかもしれません。完全分離型はすべての空間を別々にすることです。同じ敷地であるということ以外、接点が少なくなるためトラブル発生確率を大きく下げられます。その反面、建設コストや広い敷地が必要です。

ふたつ目のポイントは互いのプライバシーに干渉しないことです。過干渉は二世帯住宅のトラブル原因となりますので、建設する前にプライバシーに関する約束事をするのが無難でしょう。

3点目のポイントはお金に関する取り決めを事前にしておくことです。光熱費の負担割合、ローンの負担割合などについてあらかじめ話し合いを重ね、お互いに納得することが大事です。

まとめ

今回は二世帯住宅のメリット・デメリットやよくあるトラブル、トラブルの回避法などについてまとめました。プライバシーを尊重する考え方が強い現代において、二世帯住宅はトラブルが多い印象があり、敬遠することも少なくありません。しかし、経済状況を考えると二世帯同居は有利な側面もあります。トラブル回避のために重要なことは、二世帯住宅を建てる前に何度も話し合うことです。互いの家族が納得いくまで話し合ってから二世帯住宅を建てることでトラブルを回避するべきではないでしょうか。

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